Finding Los Angeles by Foot: Stairstreet, Bridge, Pathway and Lane
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インマン300
ロス独特の急な階段を活用し、35kmの距離で1,500mの標高のある、まるでジョン・ミューア・トレイルの1日を再現したようなルートを考案
アンドリューは、LA stairway community(ロス階段コミュニティー)の中でもっとも活動的なメンバーだった。彼と彼の妻であるインがロスの公共階段について初めて知ったのはバックパッカーマガジンに掲載されていたダン・コーペルの記事がきっかけだった。ライター兼ロスの自転車と歩行者コミュニティーのリーダー的存在のダンは、当時ジョン・ミューア・トレイル(ヨセミテの丘陵地帯〜ホイットニー山の頂上地点である標高4,350mの地点までの約340kmのトレイル)に挑戦する準備を進めていて、ロスの公道と階段を合わせたルートが彼にとって良いトレーニングになることを発見した。そして、ロス独特の急な階段を活用し、35kmの距離で1,500mの標高のある、まるでジョン・ミューア・トレイルの1日を再現したようなルートを考案した。
一方で、ロスの階段博士であるボブ・インマンは週毎にロスの隠れた名所を歩くツアーを彼の近隣の人たちと企画していた。 ロスの街中の公共階段に関する詳細な地図が無いため、ボブとダンの2人は街中で見つけた公共の階段地図を大量に集め、実際に足でその存在を確認してより正確な地図づくりにあたった。2012年には、ボブのリストは300にもなり、2人は地図でさまざまな階段を繋げて日帰りハイクイベントを企画した。ダンは、ビッグ・パレードと呼ばれる日帰りでは制覇できないルートを繋げた約64kmをハイクするイベントを行なったりしていた。
PCT(アメリカ西海岸にあり、メキシコ国境〜カナダ国境まで続く約4,264㎞のトレイル)をスルーハイクした経験を持つアンドリューとインは、さらに大きな計画を練っていた。2人は、散在する階段のすべてを繋ぎ、制覇するのに1週間以上を要するルートが必ずあるはずだと考えた。そしてボブにコンタクトを取ったが、彼はそれを検証することに乗り気ではなかった。しかしボブが、謙遜しながら自分が作ったリストをアンドリューとインに見せたとき、2人は大変感心し、ルートを総称してボブの名を冠した『インマン300』と名付けるべきだと主張するほどだった。ボブ、アンドリューそしてインの3人は10日間かけてその検証を行なった。ロス中を歩いたその旅は大変実りのあるもので、彼らは他のハイカーにもぜひ同じ経験をしてもらいたいと思い、あまたのアスリートにコンタクトをとったが、興味を示したのは私ただひとりだけだった。
※より詳しくアーバン・ハイキングについて知りたい方は、私が『インマン300』でガイドブックとして使った本『Finding Los Angeles by Foot』をオススメします。